人間と魔物が互いに手を取り合い生きるようになって早10年。
未だ根強い反発はあるものの、人間と魔物は平和に暮らしていた。
そんな時代に大変似つかわしくない船が一隻、ゆっくりのんびりと海を進んでいた。
船首に足をかけ海を眺めている青年こそ、海の彼方にある宝物目指して時代遅れ感漂う海賊業に身を費やす主人公、アヴェス・ノース・デーンその人である。
アヴェスは、雲行きが怪しくなってきたことを察知する。
準備をしないと……そう思い、急いで船倉へと足を向ける。
しかし、アヴェスは足を滑らせ海へと真っ逆さま!「せ、せんちょーー!!」「ぶわっ、おまえら助けろっ!」「無理です。
あっしら誰一人泳げるヤツいねぇんでさぁ!」「なっ、なにぃぃぃっっ!!?」波に流され飲み込まれ……薄情な子分を恨みつつ、アヴェスは意識を失った。
目が覚めると、そこは見慣れぬ砂浜だった。
そして自分の顔を覗き込む少女2名。
その姿を見て魔物だと知るが、紳士の嗜みとして少女たちを口説き始める。
しかし、アヴェスの口説きなど意に介さず、その格好を見て目を輝かせるスライム娘ライム。
「その姿は紛れもなく、あたしが憧れている海賊そのもの!人間!いいえ、お頭っ!あたしを立派な海の女にしてちょうだい!」「はい?」あれよあれよという間に決定していく事柄に、頭の処理が追いつかないアヴェス。
しかし、流れ着いた場所が『辿り着いたものは、世界で最も大切となる宝物を手に入れる』と言い伝えがある伝説の島だと知ると、急速に頭が回転していく。
「ふっ、ふふっ……その宝物、手に入れさえすれば、くくくくっ……!」俄然やる気になるアヴェスに、パチクリするライムとラキス。
理由はどうあれ、三人の生活はこうして唐突に始まったのだった…はてさてどうなることやら…。