主人公はなんとか就職出来たしがないサラリーマン。
今日も出勤する為にいつもと同じ電車に乗りこむと、隣りにはよく見かける女の子の姿。
その娘は物静かにいつも俯いていて本を読んでいる姿が印象的で気になってはいたが、特に声をかける理由もなくただ眺めるだけ。
そんな娘の隣だなんて、朝からラッキー程度のささやかな幸せを感じているといきなりの電車の急停車によってよろけてしまう。
ドンッ!!「あっ、すみませ……」「ちょっと、あなたっ!何をしてるの!!」と、娘の隣にいた女性からのよく通る声。
何がなんだか分からず戸惑う主人公をよそに次の停車駅のホームに無理矢理、降ろされ駅員室に連行。
いくら無実を訴えても、誰も主人公の話を聞こうともせずに性犯罪者扱い。
なんとか説明し、解放してもらうことが出来た主人公だったが、会社に出社してみると同僚からの冷たい視線と囁き合われる会話。
上司からの呼び出しで冤罪であるハズの痴漢行為が既に会社全体へと知れ渡ってしまっている事を知らされる。
上司にいくら冤罪だと訴えても優しい言葉が返ってこずに代わりに返ってきたのは解雇の二文字。
「まったく我が社に性犯罪者がいただなんて恥ずかしい。
今後は我が社とは関係のない人間となるんだから好きに頑張りたまえ。
」主人公は冤罪である性犯罪者の汚名に続き無職という称号を得たのだ。
明日からの生活をどうしようかと悩んでいると背後から肩を叩く見覚えのない老人。
そんな彼からの同じ列車内で痴漢をしていたのは実は自分だと衝撃の告白。
人生を狂わした犯人の登場に暴れだす主人公だが、すでにどうしようもない状況なので次第にどうでもよくなってきたので帰ろうとすると男性からの言葉が。
「本当にすまなかった、お前はただ運が悪かっただけだ。
しかしこのまま運が悪かったからと何もしなくてもいいのか?一番悪いのはほんの少し触ったくらいで騒ぎ立てる女達ではないのか?お前の人生を狂わせた彼女たちに復讐をしたくはないかね?俺ならお前さんにあの女どもに復讐をさせてやれる力を教えてやるぞ」その言葉を聞いたときに主人公の中の何かが弾けたのを感じた。
それは同時に新たなる復讐者(痴漢者)の誕生の瞬間だった。