「フローライト」……、それは蛍石と呼称される鉱石(宝石)。
火の中に入れるとホタルのように美しい輝きを放つが、すぐに砕けて散ってしまう儚い石……。
午前の授業が終わり校舎裏で昼休憩していた“宇喜田珪一(主人公)”は、倒れている女生徒を見つけて駆け寄る。
それは幼馴染の“松川ほたる”だった。
慌てて、介抱しようとするが、手助けはいらないとばかりに拒絶する彼女。
しかし、また気を失ってしまう。
彼女を保健室に運び込んで、ふと保健室で利用記入帳を覗いてみると、ほたるがここの常連であることがわかった。
ほたるとは、3年前まで交際していたが、別れてからはほとんど会うことはなかった。
当時は、陸上部のスプリンターとして活躍していたほど快活だった彼女が、こんなにも病弱になってしまっていたとは……。
そして、後日、ほたるが肺癌に侵され、あと数ヶ月の命だということを知った珪一は……。