多くのカップルたちが、お互いの愛を確かめ合いほんのひとときの幸せな時間を過ごす夜。
はじまりは、そんな聖なる夜におきた。
これから幸せの時間を共有するはずであった彼女との突然の別れ。
部屋に残された、彼女の服。
本当に小さな衝動でしかなかった。
それまで、こんな事は考えもしなかったし、考えても、ちょっとした軽い考えのはずだった。
ずっとそのはずだった。
「この服を着てみたい…」しかし、それだけでは衝動はおさまらなかった。
「この服を着て、外に出てみたい」「もっと似合う服がほしい」「もっと綺麗になりたい」あふれてくる自分の中の少女のこころ。
社会に認められないがための苦しみ。
人々の冷たい視線が少女のこころを男と女の間で揺れ動かす。
「もっと綺麗になればいいの?」