記憶を失くした主人公と美人姉妹の穏やかな暮らし……思いださなければ…それは続いていたかもしれないのに……20世紀初頭――フランス北部の、とある村。
そこに建つ屋敷に住む美しい姉妹の前に、ある日突然、一人の男が現れた。
その男には……記憶がなかった。
自分が誰なのか、どうしてここにいるのかもまったく解らない。
ただ、後頭部に傷があることだけが、男の素性の微かな断片だった。
おそらく記憶を失った原因と思わしきその傷は何らかの戦闘に巻き込まれたものと思われた。
妹は男を屋敷に受け入れ、まるで以前からそうであったかのように、日常が始まる。
男は姉妹の父親の服を身に着け、食卓に座り、妹と軽口を交わす……。
そうして、まるで何もなかったかのように時間は経過していき……一年が過ぎた。
そこまでは、とても平穏な日々。
しかし、なにげない日常は突然崩れはじめる。
ある事件をきっかけに、男の記憶が蘇ろうとしはじめたのだ……。