伝承にある天魔。
ある日、その子供を主人公は、蒼き月夜の晩に見つけた。
湖にたたずむ美しき少女。
伝承には、地水火風の四大精霊の力をもって、その子の力は育っていき、天使・悪魔へと姿を変貌させるという。
精霊の力を操るに長けた主人公は、美しき天魔の姿へ、愛らしいその子を育てることにする。
規律正しく清らかで、見目麗しい天使。
自由で淫らな、それでいて愛らしい悪魔。
その二つの姿を主人公に見せながら、少女は歌った。
少女は確実に「大人」へと成長していこうとしていった。
時には父娘のように、時には恋人のように。
短い期間だが、二人はどんどんお互いを愛すようになっていった。
それは父娘の愛か、男と女の愛なのか。
それはどちらにもわからなかった。
しかし、このころから、少女は魔力を制御できていながらも、体の変調を訴えていった。
そもそも天魔はこの世界にあらざる存在であり、存在すること自体が、彼女に負担を強いていたのだ。
彼女の成長は、彼女との別離だとわかっていながらも、主人公は彼女をこの世界から放たなくてはならないのだ。
別離の日が近いことを知りながらも、二人は愛し合い、そして幸せな日々を暮らしていき…………そして、その日は訪れた。