───『緒方星四郎(おがたせいしろう)』───。
巨大コンツェルン『緒方グループ』の総帥にして、『死の商人』等様々な顔を持ち、地獄の悪魔すら跪くという最強最悪の男。
星四郎は、相変わらず精力的な日々を送っていた。
自らの欲望に忠実に、破壊し、蹂躙し、支配する。
ただし、決して無計画に行うわけではない。
やがて生きとし生けるものすべての頂点に立つべく、大胆かつ冷徹な計算がなされているのだ。
そんな彼が、今一番興味を持っているのは───何度となく渡り合ってきた、日本政府直属の非公式な組織───。
『内閣直属特殊事態特別対策室』───通称、『特対室』。
特殊能力を持つ人間を集めた『特対室』とこれまでにも戦ってきた星四郎は、すでに力を持つ女達を『特対室』から奪い、支配し、忠実な下僕として手に入れてきた。
だが、まだ手に入れていない女がいる。
特に『イシュタル』と呼ばれる、すべてが謎に包まれた『特対室』リーダーの存在───。
『緒方グループ』の組織力を持ってしても、その正体は掴めなかった。
『必ずその正体を暴いてやる───そして、いい女なら俺が支配してやる───』そう遠くないうちに眼前に現れるであろう存在を思い描き、星四郎は邪悪な微笑みを浮かべていた───。