夏休み。
スポーツ強豪校として知られる藍ヶ浜学園では、水泳部の合宿が行われていた。
大勢の部員たちがしのぎを削る中、一際周囲の視線を集める少女がいた。
氷川美玲――。
ショートカットの黒髪と学生とは思えない大人びた顔立ち、切れ長のクールな瞳が印象的な水泳部のキャプテン。
近寄りがたいほどの美貌と完璧なプロポーションは、男女を問わず学生たちの憧れの的となっていた。
森野胡桃――。
彼女もそんな部員の一人だった。
普段はスイミングクラブで練習しているため、部活には顔を出さない美玲だが、夏休みの合宿だけは参加することになっている。
やっと、憧れの先輩と一緒に部活が出来る。
そう思って楽しみにしていたが、極度のスポーツ音痴な胡桃は美玲の見ている前で溺れかけ、呆れた顔をされてしまう。
その事にショックを受けて退部まで考えた胡桃に、一人の男が特別コーチを申し出た。
二階堂裕也――。
藍ヶ浜学園水泳部の副キャプテン。
副キャプテンだが、部活に参加しない美玲の代わりに部活を仕切っているのは彼だった。
表向きは胡桃の事を気遣いコーチを買って出た格好になっているが、その実、合宿初日で退部者が出ては自分の指導力を疑われてしまうと思っての行動だった。
深夜の屋外プールで秘密の特訓を始める二人。
その時、裕也はふとあることを考えつく。
そうして、恥辱にまみれた水泳部合宿が幕を開けた……。