宿敵であり最愛の女であるユリア・ランドクルスに虐襲を果たし、フェリシアド王国を手中に収めたギラン帝国初代皇帝ギラン・フォン・クルセードは、ギラン帝国の名の下に全世界を征服するために海を渡り、広大な領土を誇るユーラリアン大陸へと侵攻する。
『倭国』女は皆美しく、清らかな心と肉体を供えていると伝承される東方の異国。
全世界制覇の足がかりを求めて、ギラン率いる帝国軍はまずはユーラリアン大陸の西端に存在する倭国を征圧すべく意気を滾らせる。
だが、ギランは知ろう筈も無かった。
その虐襲が果たされた今、新たな虐襲の物語を紡ぐべく、その指に光る魔導具『羅針器』が己が手を離れようとしていることなど……時を同じくして、倭国に存在する異形『あやかし』たちの住処であるあやかしの森では、人間どもに滅ぼされかけようとしているあやかし達の長『もののふ』が仲間を引き連れ決死の反撃に打って出ようとしていた。
もののふの向かう先では、あやかしの天敵『破魔邪乃巫女』その頂代である『蘇乃帋樒』とその弟子『冴乃木静波』が、あやかしたちを睥睨していた。
美しくも気高く、そして強い二人のオンナを屈服させるために、あやかし達は意気を滾らせる。
──様々な者の思惑が、倭国の空の下で複雑に絡み合い、交錯していた。