硬く小さかった桜の蕾が膨らみ始め、微かに甘い気配を漂わせる早春の季節。
栗谷女学園は、新学期を控えた静けさの中にあった。
学園の敷地の東には、地方出身者のための寮がある。
この寮を利用する結城花音は、同級生である三矢真琴に片思いをしていた。
控えめながらもアピールを試みる花音に対し、真琴の態度はなぜかつれない。
そんな中、新任教師兼寮母として工藤初実が赴任してくる。
初実は花音の想いを受け、真琴との橋渡しを試みようとするが……