とある雪国に、女将と料理人の一人娘で二人で営んでいる小さな旅館『静』があった。
スキー場が近くにある立地条件の良さから地元の観光協会は、その場所にもっと集客能力のあるホテルを建設したいと考えていた。
旅館の土地を売るように話を持ちかけたが、女将は一向に首を縦に振らない。
しびれを切らした観光協会は一人の男を雇う事にする。
合法・非合法問わずにあらゆる手段を使う、強請りやたかりのプロ『堕とし屋』と呼ばれる人物で、名を武蔵龍魔と言う。
龍魔は旅館『静』に宿泊する。
前情報通り、この旅館には女将の白鳥千鶴と、その娘・白鳥美雪の二人しかいないようだ。
どのように弱みを握ろうか。
母・千鶴か、娘・美雪のどちらから堕としていこうか……あるいは二人まとめて……龍魔による『堕とし』の幕が、今上がろうとしている。