『変わらない景色と、春の呼び声が聞こえる』 3月。
卒業式を控えたその青年は、彼の最後のフィナーレを迎える事無く田舎へ送還されることとなる。
凍るような風に東京からうっかり薄着で着てしまった主人公、藤川通明。
そこは北西部の外れにある小さな小さな町。
この町に戻ってきたのは実に5年ぶりだった。
けれど其処には懐かしい顔ぶれ。
「おかえりなさい」「ただいま」何気ない挨拶もどこかぎこちないけど、彼は何処か居心地のよさを覚えた。
お姉さん気取り、同い年な幼なじみ。
元気と無邪気がとりえの従妹。
そして彼の記憶に無い少女。
通明はこの地で想い出の少女たちと再会し、或いは出会いそして恋に落ちる。
なにもないこの町で、この土地で。
そして終わってしまったこの町で…。
少女と出会い恋をするあったかくてちょっぴり切ないおはなし。
『ここには何も無いけれど、恋愛ができるよ』