――神――らしきもの。
古来より民に恐れ奉られてきたひと柱の龍。
夜刀神……かつてそう呼ばれていた荒神は、今は静かに眠っている。
しかしその忌むべき魂は、今も「鬼穢れ」となって地上を揺蕩う。
――鬼――悪しき魂の権化。
穢れは清浄なるを嫌い、人の魂を喰らって鬼と化す。
鬼は贄を求めて街を彷徨う。
龍の記憶を持つ青年、長峰悠馬の住む町もまた……鬼によって穢されつつあった。
悠馬と悠馬を慕う少女、風守桜子の穏やかな日々は突如破られる。
夜を薙ぐが如く彼らの前に現れたのは――神刀を自在に操り、魔を破り鬼穢れを祓う少女――久沙凪トウ。
身の回りに起こる奇怪な出来事。
次々と現れる異形のもの達。
呪われた運命の糸が絡み合う中、夜刀神の力を得んと張り巡らされた陰謀の渦が、愛する人達を巻き込んでいく。
……そして悠馬は決意する。
己を取り巻く全ての謎、その根源に立ち向かうことを――。