それは夏休みに入るほんの1週間前、竜助の電話が発端だった。
大学の夏合宿がなくなったからと嘆いたヤツはひとしきり愚痴をこぼした後で中学のテニス部の同窓会を兼ねて旅行に行こうと言い出した。
こんな時期にそんなコト言っても無理に決まってる──そう言ったのだが、竜助は自分で幹事をやるからと言って電話を切った。
そして2週間後、同窓会を知らせる手紙がオレの元に届いたのだった。
「あの竜助にしては素早いというか……たった2週間の間に」そして、今、中学以来の親友(悪友の間違いと言う噂もある)滝口洋介と二人、同窓会の目的地“星降里高原”へと車を走らせている。
淡い想いと懐かしさ、そしていくばくかの期待を胸に抱きながら……。