美樹里絵利理は誠潤学園に通うごく普通の女子。
典型的な委員長さん少女で、チアリーディング部のサブリーダー。
……あんな、マジメでツンツンしたやつ何処がいいんだろとか言うヤツもいるけれど、僕自身はすっごく気に入っている。
……っていうか、彼女にしたいと思ってる。
だけど、彼女には彼がいる。
絵利理には、今、大大大好きな『ダーリン』がいる。
彼の名は『牧瀬義純』、今破竹の勢いで快進撃を続けるサッカー部のエースストライカーで、イケメンな彼氏。
学園じゃ、ずいぶんと有名なカップル。
『美樹里はいつもツンツンしているくせに、牧瀬の事となると、とたんデレデレするらしい』。
……友達の評判じゃそうらしい。
一方的な叶わぬ片思いを諦めていたころ、僕はサッカー部の応援にかり出された。
彼氏の応援に精を出す絵利理は、やっぱりかわいいと思った。
絵利理が僕の彼女だったらと、むなしく思う。
試合が終わった。
その日の夕方体育館裏で、僕は絵利理と恋人がお互いにキスをし、身体をまさぐって愛撫するところを見てしまう。
いわゆる、ペッティングってやつだ。
恋人に追いつめられ、絶頂する絵利理を目の当たりにし、僕の心の中の思いは膨張してしまう。
その日以来、絵利理が心に住み着いてしまった。
だけど……。
あきらめるしかない。
そんなある日、僕は絵利理と恋人が再来週に二人っきりで温泉旅行に行くってウワサを聞いた。
どうやら、そこでロストバージンをするらしい。
………ちきしょう!絵利理を僕に振り向かせたい。
彼女の心も体も僕のモノにしたい。
そんな思いを抱いた僕の前に『緋室(ひむろ)』と名乗る女が現れ、『蠱惑の燐寸(こわくのマッチ)』を差し出す。
そうだ……こいつで絵利理を恋人から奪うんだ!