僕の名前は一祭和也。
一祭流退魔術の正統な後継者である。
しかし僕には、退魔士の素質がさっぱりない。
子供のころは天才だの、神童だのと騒がれていたらしいが、成長してみたらただの人だったってわけ。
本家の息子がこのていたらくでは一祭流の面子にかかわるってことで、親父から勘当同然に家を追い出され、親戚筋の五法家に転がりこんだ。
そうして妹みたいな従姉妹の護や風変わりなクラスメイトの美子に囲まれて、僕の普通の青少年としての、新しい人生が……。
えっ?……僕が昔、この町に住んでいたことがある?それに霊力がないはずの僕に……見えるぞ、もののけの姿が……?