「俺がこの家に戻って、こいつの面倒を見ながら大学に通うなら、親父も文句ねーだろ?」そして4月…。
親父とお袋は日本を発ち、妹は望み通り志望校へと入学した。
「あの学校に通えたのはお兄ちゃんのおかげだもん。
私にできることはなんでもするよ」大学に入ってすぐに一人暮らしをしていたから、妹と暮らすのは数年ぶりのことだ。
その年月の隔たりが、妹を大人びて見せた。
そして俺の隣に横たわる甘い気配。
そっとそちらを伺うと、妹がこちらに顔を向けてすやすやと眠っていた。
(こいつ…こんなに可愛かったっけ?)妹の寝顔を見るなんて何年ぶりだろう。
それも、最後に見たときはまだコドモコドモしていた頃だ。
今の大人びた、ほのかに色香が漂う寝顔に、俺の心臓は高鳴り始める。
改めて自分の犯した罪の重さに愕然としながら、恐る恐るキッチンへと向かえば、妹はいつもと変わらない様子で朝ご飯の支度をしていた。
「疲れてたんでしょ?学校の勉強だけじゃなくて、アルバイトや…私の世話で…」「だから…お兄ちゃんにカノジョができるまで、私が代わりになってあげる」驚いて顔をあげた瞬間、妹の唇が俺の唇を塞いだ。
ほんの一瞬のフレンチキス。
その瞬間から、俺と妹の奇妙な生活が幕を開けた。