事の起こりは、1週間ほど前のことだ。
学校を卒業して以来、就職もしないでなんとなくぶらぶらしていた俺を、ある日突然親父が呼びつけたのである。
ちなみに、俺の親父は有名レストランチェーン「キングス・ダイナー」の社長である。
裸一貫から初めて、全国チェーンを展開するところまでこぎつけた手腕には尊敬するが、俺にとっては「ぶらぶら遊んででも小遣いをくれる便利な親」でしかない。
「これ以上お前に無駄飯を食わせてやるつもりは、俺にはない。
」 どうやら、これが今日俺を呼びつけた理由らしい。
「有無は言わせん」 かくして、俺はレストランカフェ「シャンテ・シャトン」で働くことになったわけだ。