綾森幹彦(あやもり・みきひこ)は、とある高貴な生まれの35歳。
働かなくとも生きていけるいわゆるディレッタントだが、道楽で事業をしている。
彼が住むのは郊外の洋館。
広大な庭。
だが家族はなく、わずかな使用人と執事がいるばかり。
彼は昔のある出来事から、少女しか愛せなくなっていた。
この世の何にも代え難いほどに、愛してしまう。
そんなある日、幹彦のもとに遠縁の少女が訪れる。
おのおのの事情で、家を出なければならなかった少女たち。
勝ち気な夏乃香(かのか)。
淑やかな閑(しず)。
マイペースでどこか厭世的な羽鳥(はとり)。
幹彦の方から名乗りでて、彼女らを引き取ることに……幹彦は心奪われる。
その造形に。
面相に。
香りに。
四肢に。
全てに―――そして彼は、道を定めた。
少女たちと過ごす日々。
佶屈な彼の心が、主の肉体を突き動かす先にあるものは?その、結末は?

沢村司が再び他人と暮らすきっかけとなったのは、バイト中に拾った行き倒れの言葉も通じない外国人の少女・春花だった。
そして司のもとに『家族から逸脱した者たち』が集まってくる。
足並みが揃うはずもなく。
ぶつかったり、ののしりあったり、いじめたり、いじめられたり、転びまろびつ、彼らがたどりついたのは一軒家。
古めかしいつくりのその家で、彼らは欲しかったものを手にいれる…機会を得た。
それから、ん年の歳月が流れる。
司のもとに一人の少女が転がり込んで来る。
再び、「家族計画」が動き出すのか？

自分には’加奈’という名前の、2つ年の離れた妹がいる。
加奈は病弱で、小さな頃から入院と退院を繰り返す毎日を送っていた。
両親はそういった妹にかかりっきりになることが多く、幼かった自分にとって加奈は「自分から両親を奪う、憎むべき存在」でしかなかった。
しかしある日のこと、家族で出かけたハイキングの最中に起こった事件がきっかけで、加奈に対する感情は変化した。
「絶対に守ってあげなくちゃいけない。
兄である自分が…」以来、あなたは幼い頃に誓った心のままに、妹である加奈を守り、そして彼女の幸せを祈っている。
かつてあれほど加奈を大事にしていた両親が「過保護すぎる」と心配するほどに、大事に、大切に加奈を見守り続けている。
そして加奈は、自分をずっと守ってきた兄の背中を見つめ続けてきた…。